ローレン・アライーナ Lauren Alaina - Sitting Pretty on Top of the World

2011年の「アメリカン・アイドル」で準優勝、ブレイクしてからはや10年になるローレン・アライーナ。といっても、まだ26才という若さなのですが、本人もインタビューで、゛25になった時、やばい、私は女性よ、という感じだったわ。私は成長し、大人になったの゛と語る通り、成長を感じさせるポップ・カントリー・アルバムをリリースしました。コロナ・パンデミックや義理のお父さんの死、そして何より2人の男性との別離スキャンダルなどの試練を経て、溌剌とした「Road Less Traveled」当時とは違う、誠実ささえ漂う歌声を聴かせてくれています。また、15曲中14曲にソングライターとしてクレジットされています。
プロフィールです。1994年、ジョージア州ロスビルで生まれました。幼少期からカントリー音楽を聴き、3才に頃には既に歌を歌ってまわっていたそうです。高校生になってからはチアリーダーをしながらジョージア州の各地で歌っていました。2009年にWinniSTARのユース・タレント・コンテストで優勝し、そこで自信をつけた彼女は、2011年に10シーズン目となっていたフォックスTV「アメリカン・アイドル」に参加。最終的に、スコッティ・マクレアリーと優勝争いを繰り広げ、スコッティが優勝、ローレンは2位となるのです。スコッティも現在に至るまで、第一線で活躍するカントリー・アーティストであり続けています。
ローレンはアメリカン・アイドル後にシングル"Like My Mother Does"をリリース。この曲がそこそこのヒットとなった事から、マーキュリー・ナッシュビルとレコーディング契約を獲得しました。すかさず2011年内にデビュー・アルバム「Wildflower」をリリースし、アメリカン・アイドルでの名声の後押しも有り、ビルボード200で5位、同カントリー・アルバムで2位という華々しい成績を収めます。続くアルバムは、2017年の「Road Less Traveled」。タイトル曲は自身もソングライターとして加わり、ビルボードのカントリー・エアプレイで1位をモノにします。"Doin' Fine","Next Boyfriend"もシングル・ヒットしましたが、アルバムとしてはビルボード200で31位、同カントリー・アルバムで3位の成績でした。
2020年には、「Getting Good」「Getting Over Him」の2作のEPをリリースし、それらの中でシングルないしデジタル・シングルになったナンバー("Getting Good"、"Getting Over Him"、"Run"、"What Do You Think Of?")は、この最新アルバムにも収録されています。自身の作品の他に、ローレンの近年の活動で特筆すべきなのがデュエット・コラボでのヒットです。特に、高校時代の同級生ケイン・ブラウンとの"What Ifs"や、ハーディ Hardyとの"One Beer"が、No.1ヒットになっています。
本作は、特にバラード系の作品が良く、ペダル・スティール・ギターも要所で響き、カントリーの良い雰囲気を味わえるものが多いのが特徴と思います。元々のパワフルな力量に加え、スイートでかつアーシ―な歌声で聴かせてくれるのです。その極めつけがオープニングの"It Was Me"。キメのスローを冒頭に持ってくるのはカントリー・アルバムの常套手段ですが、この曲は7年間交際していたという元恋人Alex Hopkinsとの関係を歌ったもののようです。
ローレンも、゛今まで書いた中で特にお気に入りの曲よ。そう、彼(Alex)のことよ゛と語っています。゛私が彼を愛してなかったってことじゃなく、ただ私が自分自身を愛してなかったの。プラス、私の人生において'永遠'に対して準備する時でなかった゛゛私は彼に何かを伝えたかった。なぜなら彼は悪い男性ではなくて、私の男性でもなかった。ある意味私達二人ともこの曲を受け入れるべきと感じるわ゛そんな辛い体験を乗り越え、彼女はついに自分の声をモノにした、という感じがしました。アウトロー・カントリー風の肌触りも感じるこの曲、共作はヒラリー・リンジーです。
ローレンはそんな様々な困難を乗り越えていこうとする思いを、このアルバム全体にも込めています。゛このアルバムは、傷心の時期を潜り抜けてそれを克服し、そして未来への希望を持てる場所に戻る事についてなの。そして今私はその場所に居るのよ゛とローレン。その思いはアコースティックなアルバム・タイトル曲“On Top of the World”に表現されていて、どん底に打ちひしがれても最後には゛Sit Pretty゛する場所を探し続けようと歌われます。アルバムの初出曲のリズム・ナンバーの方も、フォーク・ロック調の"Same Story, Different Saturday Night"のようにテンポが抑え目なものが多く、大人な音世界で占められています。
ここ最近はスキャンダルのゴタゴタで、後から出て来たマレン・モリスやカーリー・ピアース、同じく「アイドル」出身のキャビー・バレット等々に先を越された感も有りましたが、女性シンガーは皆えてしてすぐにポップにクロスオーバーしがちな中で、力のある「伝統派」といった感じで、かつてのパティ・ラブレスのような存在になってくれたら・・・と言う気持ちが、本作を聴いて湧いてきました。